サスティナブルな循環型社会で豊かな未来を実現させる。 人も資源も循環する ”いのちめぐるまち” 南三陸

 

宮城県の北東部に位置する南三陸町は、人口1万3千人、町の大きさは163.4 km²とコンパクトながらも、三方が標高300~500mの山に囲まれており、東は太平洋に面しているという、海と山が一体となった豊かな自然環境を形成しています。沿岸部はリアス式海岸のため、牡蠣やホタテ、わかめなどの養殖業が盛んです。

 

森、里、海からの恵みによるこれら豊かな資源は、持続可能な循環型社会を目指したい人たちにとって素晴らしい環境となっています。町外の人を受け入れてサポートをしてくれる、地元民の人たちの懐の深さや人懐っこさも手伝い、ここ数年、南三陸には新しいことにチャレンジし、循環型社会を創っていきたい人々が集まってきており、ユニークで画期的なプロジェクトが次々と生まれています。

 

南三陸に住むということと地元民との関わり

 

肌寒い海風が残る2月下旬ころ、南三陸を訪れたときに一番驚いたのは、町の真ん中に位置する海の透明度でした。風が冷たく、まだまだ真冬の雰囲気を引きずっている気候なのにも関わらず、そこで目にした海はとても青く、底まで見えるほどに透き通っていました。

 

車を1時間も走らせれば、南三陸の町はぐるっと一周することができるほどにコンパクト。そこには、漁業、農業、建設を生業とする人たちがそれぞれに住むエリアが存在し、コミュニティ毎に地域がゆるやかに分かれています。気質のあう者同士が寄り添いながら過ごし、異なるコミュニティと共存しあうという昔ながらの町の特徴が残っています。

 

この南三陸のあり方に沿うように、町のさまざまな場所に点在するNCL南三陸のプロジェクト。山里海のそれぞれの土地や性質、資源利用の特徴を活かした形で行っています。

 

森・里・海とすべてのフィールドにおいて持続可能な循環型社会の資源がそろっている地域というのは、日本全体をみてもとても稀で恵まれた環境であることがわかります。その証拠に、日本で唯一、南三陸ではFSCとASCの2つの認証を取得しており、自然資本を守りながらもそれを最大限に活用することで、暮らしと産業を共に支えることができる町として、各方面より注目・認知され始めているのです。

 

南三陸町の人々

 

町を訪れて感じたことの一つに南三陸の人々についての印象があります。小さな田舎町であると、昔ながらの地元民の結束が強いのは当たり前、新参者はなかなか打ち解けにくいという話をよく聞きます。お互い打ち解けるには、地元の習わしに沿いながら、長い時間をかけなければならない。そんな印象がありました。しかし、南三陸の人々はそれとは違い、積極的に町外の人と協働しているように見えたのです。

 

その背景には、東日本大震災で ” 多くのボランティアや外部の移住者とともに、地元民だけでは成し得なかった様々なプロジェクトを成功させてきた ” ことにあるといいます。

 

また、この震災で経験したライフラインの分断で ” 自分たちは脆弱なシステムの上で生きていたのだ ” と痛感したこと、被災後 ” 山里に保存してあった備蓄米のおにぎりで命をつないだ ” ことにより、身近にある自然資源こそが本来のライフラインであると気づきました。

 

町の人々は、その資源を大切に余すことなく活かすことで、しなやかで力強い地域社会を作るという決意を抱いたのです。

 

震災後に移住をしてきた、NCL南三陸のメンバーやその他の起業家たちからは「人がとても暖かい」「知り合ったばかりなのに遊びと称した本格的な釣りに誘われた」「ある日突然、郵便ポストに新鮮な魚が届けられていたこともある」など、ユニークで暖かいエピソードが聞けたことも、南三陸を訪れた記憶として強く印象に残っています。

 

南三陸とあなたの持続可能な未来

 

南三陸町は、この町の中だけで持続可能な循環型社会を実現していきたいのではありません。資源を最大限に生かしたサステナビリティのある生活や、地方の新事業による経済的発展など、この町で機能した手段を同じような可能性を持つ、他の地域や国へモデリングし、そのノウハウを循環させていきたいと考えています。

 

震災から丸7年。マイナスからのスタートを余儀なくされつつも、試行錯誤を重ねて新たな未来への可能性を見出してきた南三陸町。いま少しずつ、それぞれの思いの芽が出始めています。これから一気に加速していくであろう、この町のプロジェクトに心惹かれたらぜひ一度話を聞きにきてください。

 

実は、この事業を担っている事務局のメンバーも全員が他県からの移住者。同じような環境の下からスタートしたスタッフだからこそのサポートがあるのも大きなポイントです。

 

 

NextCommonsLab南三陸と南三陸町による未来のプロジェクト

 

NCL南三陸では ” あらゆる資源が循環する社会 ” をテーマとし、地域リソースをベースとしたプロジェクト設計を行い、それを担う起業家を募集中です。また、南三陸町も町をあげて《森・里・海・ひと・いのちめぐるまち南三陸》を推進しています。

 

これからの未来は有限の資源を活かすことで、持続可能なあり方を模索する時代に突入します。そんな時代を担っていく若年層や子どもたちへ、学校や家庭では教えられない、南三陸だからこそできる持続可能な社会の作り方をできるだけ多くの人たちに共有し、次世代へ繋げていきたいと願っています。

 

現在の南三陸は、このNCL南三陸と南三陸町の想いに賛同した人が集まって協働しています。

 

 

2017年からすでに始まっているプロジェクトとして、約850本のシャルドネが植えられた『サスティナブルワイナリー』、山形アルケッチャーノでの修行後、さらに本格的な技術を磨くためにイタリアへ留学中の『巡る風土料理レストラン』、隈研吾の事務所でインターンをしノウハウを学んだ後、南三陸でモジュールハウスを設計する『山からつくるまちのプラットフォーム』などがあり、ラボメンバーとして8名の方が着任しています。

 

そして、2018年度にはこれらのプロジェクトをさらに加速させるための追加ポジションの募集と、将来的にそれぞれのプロジェクトが繋がり、森、里、海・ひとの循環を生みだすための新たなプロジェクトのラボメンバーを募集します。

 

今年度募集されるプロジェクトは5つあり、そのほか自由提案枠として南三陸でできる自由なアイデアを運んできてくれる人材を求めています。

 

ひと)

1:震災前から年間100万人を超える交流人口を生み出していたという南三陸を再び復活させるプロジェクト『未来へ繋ぐ学びのツーリズム』観光地だけではなく、民泊を中心とした地域の人びとの暮らしや営みにフォーカスした独自の交流の仕組み作り、そして海外インバウンドなどのさまざまな交流を促進します。

 

他にはない南三陸の魅力的な点として 「循環型社会を目指す地域の暮らしとは 」「サステナブルな生業とはどんなものなの」ということを、民泊をしながら体験できるところにあります。このプロジェクトの役目は、そのような場や企画を提案する仕事です。多くの訪問者に、これからの未来のあり方を考えるきっかけやヒントを伝える面白さがあります。

 

森・海)

2:《森・里・海・ひと・いのちめぐるまち南三陸》の実現のため、食・エネルギーの循環と自給を目指すプロジェクト『めぐる地域エネルギー』町面積の約78%がスギを中心とした森林資源であることから、木質ペレットや木質バイオマス施設を導入し、原発や石油に頼らない自然エネルギーによる自給を推進します。

 

エネルギーや水といった南三陸の全ての産業と環境を根底から支える仕事です。山を整えることで、里や海が循環していく様子を目の当たりにできる、自然の力を実感できる面白さがあります。また、自然エネルギーは地震災害の多い日本全国にとっても重要な課題の一つ。新しい分野に挑戦したい意欲や行動力を持つ方にとって大きなチャンスです。

 

里・ひと)

3:南三陸の大きなテーマである食・エネルギーの循環と自給を実現するための、食に関するプロジェクト『里の循環型ファーム』南三陸の里山で取り組みが進められている無農薬ササニシキの栽培を学びます。地域での流通消費を拡大し、持続的な経営モデルへとシフトさせ、他の無農薬栽培作物や加工品の開発にも取り組みます。

 

農業は自然を相手にする難しい生業ですが、パートナーである阿部さんは、農業者としての経験はもちろんのこと、柔軟な考えを持ち、新しいことに果敢に挑戦をする素晴らしい人柄の持ち主。新しい農業の形や食を通した地域循環を模索する面白さがあります。

 

 

森・海・ひと)

4:南三陸の食の循環と自給をブランド化し、新しい交流を生みだすことで、地元農家や新規就農者のメリットに繋げることを目指すプロジェクト『サスティナブルワイナリー』栽培面では、可能なかぎり農薬や肥料を減らすことで海への環境負荷を軽減し、さらには牡蠣殻など海からの廃棄資源も余さず利用します。

 

海の見えるワイナリーがコンセプト。想像するだけでわくわくするプロジェクトです。ワインや食に情熱を持ち、好きなことを仕事にしたい方や、森・里・海を連携させた各方面とのコラボレーションを楽しみ、新たな食文化の価値を生み出したい方にぴったりです。

 

森・海・ひと)

5:すべてのプロジェクトをスムーズに進行させるための役目を担うプロジェクト『サスティナビリティセンター』南三陸町が持続可能な社会になるための様々なプロジェクトを成功させるため、大学や研究所の研究者を巻き込みながら ” 行動につながる学び ” を作り出しつつ、次世代への持続可能な社会の担い手作りを推進します。

 

南三陸のプロジェクト全体の要となるポジションです。あらゆるジャンルの人たちと交流を図り、自身の知識外のことにも取り組んでいける面白さがあります。頭脳・体力・情熱をフルに活用しエネルギッシュに活動できます。

 

森・里・海・ひと)

6:南三陸の地域資源や地域課題をベースに、自らが事業として立ち上げ、目指す未来を自由に決めることができるプロジェクト『自由提案枠』3年間の達成目標をすべて自分で決めることができます。南三陸町で持続可能な事業を立ち上げ、軌道に乗せることを目指します。

 

様々なサポートを受けながら起業できる最高の機会です。循環型社会作りに貢献しながら自身の夢も叶えることができる。自分の仕事が人の役に立っているという喜びを実感することができます。アイデアがあったらまずは行動を起こしてみたらいかがでしょうか。あなたのその想いをぜひシェアしてください。

 

 

町に備わっているリソースを余すことなく循環させ、プロジェクトをブランド化、またはビジネス化することにより、地域のレジリエンスを高めることが可能になります。自然災害の多い日本にとって、このような循環モデルは今後の未来を助ける知恵となるでしょう。人類が地球で生き続けるための小さな循環を南三陸から創り出す。それが、NextCommonsLab南三陸と南三陸町の目指す未来です。

 

「圧倒的な当事者になれ」という熱い心持った同志たちが、あなたの想いのカケラをしっかりと受けとめ全力でサポートしてくれます。面白い未来を一緒に作っていきませんか。

 

NCL南三陸では、2018年度ラボメンバー募集の説明会を行っています。事務局やパートナーの人たちと直接話しができる機会となっています。ぜひ会場へ足を運んでみてください。

募集中のプロジェクト情報はこちらからもご覧いただけます。

 

(文・編集=佐々木久枝 宮城県出身・海外在住 2011年より執筆・編集・取材・翻訳に携わる。英仏話者。今後ますます多様化していく生き方・働き方に興味がありライターとして関わった情報が人々の役に立ってほしいという思いで執筆・編集に取り組んでいる。)

 

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