“行動につながる学び“をここから ー サスティナビリティセンターの秘めたる想い

学生ライターの小泉です。

第5弾の今回は、新規プロジェクトとして起業家を募集するサスティナビリティセンターの代表を務める太齋彰浩さんにお話を伺いました。

一言では語り切れないこのセンターの構想やプロジェクトの目指すビジョンについて、詳しく聞かせて頂きました。この記事を読めば、きっと彼の熱い想いが伝わってきます。

 

【太齋彰浩という人】

2年間に及ぶ構想と準備期間を終えて今年、サスティナビリティセンターが誕生した。センターの全容を語る前にまず、発起人でありセンター代表の太齋さんとはどのような人物か探ってみた。

「大学生の時、海に目覚めた。素潜りサークルに誘われて入ってみたら、楽しくなっちゃったんだよね。大学の臨海実験場がある伊豆の海で潜ったんだけど、日本の海なのに赤や青の魚がいることに驚いて海の世界に引き込まれていったんだ。」

もともと生き物好きだったという太齋さん。海に魅せられ、伊豆沿岸に居を構えながら海洋生物の研究に没頭していた。

そんな彼に、研究者として就職しないかという話が持ちかけられる。一度は研究者の世界に入ってみようと就職を決心。電力系の研究所にてプロダイバーとして藻場の調査・研究に従事した。

 

【ネイチャーセンターで伝えた海の魅力】

30歳を迎えた彼に転機が訪れる。大学時代の恩師から、南三陸町(当時、志津川町)へ一緒に行かないかという話があったのだ。太齋さんは町への移住を決め、自然環境活用センター(通称:ネイチャーセンター)に、その立ち上げから関わることになる。

「海の面白さを人に伝える仕事をしたいとは前から思っていた。もともと自然環境活用センターという建物はあったんだけど、私が行く前のセンターはうまく機能していなくて、一から変えていった。人を集めるのはそんなに難しくなくて、講座をやったり調査拠点として利用してもらうようにしたな。」

太齋さんの尽力によって、ネイチャーセンターは年間2000〜2500人の来訪者数を記録。順調にもみえるセンターの運営をしながら、彼には気になることがあった。

「その頃のセンターは、海の分野だけに特化したスタイルをとっていて。自然と言うなら海だけでなく森や里もあるわけだから、その状況は変えたいと思いつつ日々の仕事に取り組んでいた。少しずつ動き出してはしていたんだけどね。」


そんな日々を送っていた頃、町を津波が襲う。
ネイチャーセンターも流され、文字通りゼロからのスタートとなった。

「震災後、改めて森・里・海のいのちめぐるまちづくりを町がするようになって。だからまた同じような場所を作るのなら以前から感じていた海に限らない資源の循環を学ぶことが出来るものにしたいと思ったんだ。」

 

【伝えたい海と陸のめぐり合い】

気持ちを新たに、新たな組織サスティナビリティセンターの設立を目指すことを決めた太齋さん。今後どのような場所、どのような活動を作っていくのだろうか。

「体験と概念理解のどちらにも偏りすぎないプログラムを作りたいと思ってる。体験は思い出に残りやすいけれど、参加者に学びが委ねられすぎだと思うんだよね。体験とデータに裏付けされた概念に基づくプログラムによってアカデミックな学びが浸透する。そんな気づきを得た人が増えていくことで持続可能な社会の形成に繋がる。」

「プログラムを作るために必要な研究データの収集や、研究者では取り扱わない南三陸町ならではの研究を進めたり、もちろん情報発信も必要。やらなきゃいけないことは盛り沢山だ。」

 

利用者には南三陸町にある循環型社会の様々な要素と、それらの因果関係を理解してもらいたいと語る太齋さん。要素について考えるロジカルシンキングに加え、それらの関係性を考えるシステムシンキングの提供を目指す。

「例えば、貝の生育に重要なプランクトンに珪藻というのがあるのね。海に珪藻が豊富にあれば、美味しいホタテや牡蠣ができるんだけど、そのためには山だとか陸地の手入れがちゃんとできていることが重要なんだよね。山の手入れがきちんとされて、栄養たっぷりの水が川を通って安定的に海に流れ込まなきゃいけない。」

「自然が守られきちんと循環していなければ、美味しいホタテや牡蠣を食べることはできなくなってしまうし、珪藻が減少すれば逆に人体に害を与えるプランクトンが発生してしまうこともある。人間も自然の循環の一部であることを腹落ちして考えられるようになって欲しいんだ。」

 

さらに太齋さんが提供したいのはデザインシンキングだ。どこのどんな人にニーズがあり、そこにどのようなアプローチができるかを考える力も利用者に身に付けて欲しいと言う。

 

海辺で美味しいホタテや牡蠣を頬張りながら、こんな海と陸のめぐり合いの話を聞けたらどうだろう。ただ純粋に話を聞くより思い出深く、ただ美味しく食べるよりも概念に基づいた学びがそこにあるのではないだろうか。

最近では、持続可能な生き方の選択をする人も増えてきた。環境に配慮した商品や、自然エネルギーの活用も進んできている。そんな時代の最先端を走り、持続可能な社会の形成を後押しする存在としてサスティナビリティセンターの期待されるところは大きい。

 

【“行動につながる学び”】

サスティナビリティセンターが目指すプログラムは“行動につながる学び”だという。“行動につながる学び”とは一体何なのだろうか。

「人の気づきには、理解→納得→共感→行動の4段階があるのね。特に「共感」と「行動」の間に隔たりがあって、なぜなら行動に移すってことは、それまでの習慣を変えることだから。さらにそれがその人の新しい習慣になって定着すればいいんだけど、それって楽なことではないから、その段階までいけるほどのショックをプログラムで与えたいね。」

「もともとそういった分野に関心のある人へはショックを与えやすいけれど、そうでない人にはまず理解して共感するところまで持っていきたいな。」

 

【価値を創造できる人に来て欲しい】

南三陸町の資源に関する研究とデータ収集、それに基づくプログラムの作成、情報発信など様々な側面を持つサスティナビリティセンター。これから始まるこの事業には、どのような人が求められるのだろう。

「価値を作れる人に来て欲しいな。もちろん人には得手不得手がある訳だから、その人ができる角度からこの事業で作れる価値は何なのかを考えてもらいたい。たくさんの人が来るものすごく面白い講座を作ってもいいし、この事業に企業が入って来やすいシステムを作ったっていい。」

 

どうしたらこの町に人が訪れ、お金を落としてくれるような事業とプログラムを作れるのか、そんな話を共にしたいと語る太齋さん。新たに人が入ることで彼自身も考えが整理され、事業が好転していくという。

「事業としてどう成り立たせていくか、そして目的である循環型社会を作っていくにはどうしたらいいのか、そんなことを話し合える人に来て欲しいな。チームでやることの効果は絶対あるので、私を冷静にさせるくらい熱い人だと嬉しいね。」

 

【センターの将来を描く】

設立から2ヶ月。震災前から続く想いが込もったサスティナビリティセンターの将来像を伺った。

「以前のネイチャーセンターのような建物を作りたいとは思っているけど、まずはプログラム作りに注力していきたい。南三陸町の資源の研究データとそれに関わる面白い人を組み合わせたプログラムを作って、町の観光協会と協力してツアーとして売り出していくところから始めたいね。」

「この事業には色々な側面があるけれど、目的は持続可能な循環型社会を作ることただ1つ。森・里・海のいのちめぐるまちをビジョンに掲げているように、この町には循環型社会の形成を目指して動いている人がたくさんいる。この動きを加速させるためにも、これからこの町に入って来る人の存在は大切だし、そうなればこの町はもっと面白くなると思う。」

 

太齋さんの中には、かつての自然環境活用センターをベースにした、循環型社会づくりへの揺るぎない想いがあった。このプロジェクトで必要なのは、この想いに共感できること。そして、共感し行動に移す人を増やすプログラムづくりにどの角度からでも関わり、この事業の価値を創造することだ。

サスティナビリティセンターの飛躍が、南三陸町における持続可能な循環型社会形成の動きを支える大きな力になると確信させられた時間であった。

 

 

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(文=小泉晴香。学生ライター。青森県出身。宇都宮大学国際学部に所属し国際社会学を専攻。昨年夏には復興庁が主催する復興・創生インターンで南三陸町に1か月間滞在。きれいな自然や人の優しさ、まちづくりに向け尽力する人たちと出会いこの町に魅了された者の1人。)

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